世界戦を振り返って〜鈴木由路〜

鈴木由路です。
みなさんご存知のとおり、僕は事故してケガをして帰ってきました。
他の代表のみなさんとは違う話ができるかと思います。
この報告会では、@なぜ事故になってしまったのか、Aその対策、B今回の大会で得られたこと、Cこれからの抱負の順番で話そうと思います。

@今回事故をしてしまったのは、結論から言うと、熱くなりすぎてしまって、降りられる場所を空中で確保しないままのサーマルが絶対にあると信じこんで進んでしまいました。
結果、グライダーが1機分降りられるかどうかのスペースに降ろすことになり、最終的にはとられてしまい木にぶつかってしまいました。
なぜそんなに熱くなってしまったか。
昨年プレ世界選手に出場した際、900点台も取れていて、デイリーで10位以内にに2回入って手ごたえがあったのと、得意なフラットランドのエリアだったので今回は良い成績が出せると思っていました。
他の日本人の選手にも勝てると思って臨んでいました。
初日に得意なスタートが全然うまくいかなくて、日本でもあまりやったことのないフライングをしてしまった。
そんな状況で二日目は一番最後にテイクオフすることになり、1回目のスタートに間に合わず点数を落としてしまった。
三日目からはスタートは良くなかったですが、中盤良いペースで飛べて先頭集団に追いついた。でも結局最後はゴールできず、もどかしい状況が続いていました。
そして四日目は良いスタートが切れたんですが、良いサーマルで回していると、リッジ沿いで他の選手が回さないで進んで自分よりも5キロぐらい先行している無線を聞いて、これはマズイなと、せっかく良いスタートが切れて自分がイケると思っていたタスク設定だったので、今日ここで点数をとらなければと思ってしまいました。
それでそのままリッジ沿いに行けば必ずサーマルあるだろうと進みましたが、結局良いサーマルをヒットせずにそのまま低くなってしまい、対地30とか50の最後の丘に風があたっているところでもサーマルをヒットできずに、麓にあったちょっとしたスペースに向かうという、行き当たりばったりの本当にXC初心者のような飛びをしてしまいました。

A自分の中のイケる、この日は得意だ、という想いがその日に爆発して熱くなりすぎてしまったのが今回の結果かなと思っています。
そうならないためには、基本的なことなんですが、常日頃から飛んでいる最中に自分を俯瞰して見られる心構えが必要だと思うんです。
今自分が居るところよりも500m高いところから自分を見ているような状態。いま荒れているのか、いまどこにいるのか、降りるためにはどう動かないといけないのか、そんな俯瞰して見られる状態を常日頃からできるようにしないといけないです。
それでも、熱くなってしまう状況はあると思うんです。
気持ち的な焦りとかはどうしても出てきてしまうので、そうならないために、吹き流しがないような場所に降りるときに、ランディングのアプローチを考えられる高度(初心者は100mぐらい)で降りる場所に着いて、風を見て障害物を確認するようにしてほしいと。
これを自分の中の絶対的なルールにする。今後学生や初中級者に伝えていきたいと思っています。

ふだん僕は飛んでいて熱くなることは少ないし、こんなに熱くなったのは今回初めてなので自分でもビックリしています。
それぐらい今回の世界選手権は入れ込んでいたんだと思います。
「今ここで〇〇しなきゃいけない」と思っていても、自然が相手のスポーツなので「必ずできる」ということはありません。
固執すればするほど悪い方向に行くので、今後は「次のチャンスもある」といった考えを常に持っていたいと思います。
詳しい事故の話とかはいつでも聞いてもらえればお話しするので直接聞いてください。

B今回の世界選手権で技術的に得られたこととしては、スタートに多少失敗しても中盤で追いつけると言うこと。
それだけの実力が付いてきていることが分かりました。
スタートに失敗して焦らずに飛べばいいんだと思えたことは今後の大会にも繋がると思います。

C今はケガをしてるんですが、様子を見て来月のEJCには出たいなと思っています。
2年後のイタリアの世界選手権にも出たいなと思っていますし、もっといい成績をとるためにもっと海外で経験を積まないといけないなと思っているので、これからも応援よろしくお願いします。

この度はハングエイドを通して、ご支援・ご声援ありがとうございました。
この場をお借りして感謝申し上げます。