世界戦を振り返って〜砂間隆司〜

砂間隆司です。

今回はハングエイドを通じてご支援、ご声援、ありがとうございました。時差が12時間もあったのにライブトラックで観戦してくれていた人もいて、僕が早くゴールするとおめでとうってメールが来てとても嬉しかったです。すごく楽しく飛べたし、9日間、目一杯飛べたのはとても良かったと思います。

目標に対する答えってところですが、僕は総合で10番以内という目標を立てていました。実は、僕は世界選手権が今回3回連続3回目なんですが、2013年のオーストラリアのフォーブスでは80番、とても悔しくて、2015年のメキシコではなんとかしたいと思って、たまたま色々うまくできてプレ世界選手権にも行けて、成績は30番。なんで今年はうまく行けば、今回は10番を狙えるかと思っていたのですが、さっき大門さんがおっしゃっていたように、正直言って世界選手権はものすごくレベルが高くて、みんながみんなチャンピオンを狙っているので、準備をしっかりしていかないと、10番以内はすごく難しいです。私自身今回は、不安いっぱいで、まずテイクオフがまともにできるかというのが不安だったんですよね。その時点で既に結構出遅れていた。あと、割と外国の大会行って開会式に出ると、やっぱりみんなすごいでかいんですよ。日本人選手では、今回行った中で一番大きかったのは氏家さんなんですが、氏家さんでもどっちかって言うと小柄に見える。だから僕は開会式の時点でビビってたんですけど、飛べば一緒だろうって思っていました。

見てくれていたので大体の流れはわかってくれていると思いますが、前から僕は言っていたようにハンググライダーの競技は運、不運があって、総合成績で順位が決まって、総合成績でチャンピオンが決まるので、総合成績が大事だと思っていたので、一日一日、自分が取れる最高の点を取って行こうという考え方で飛んでいました。

今回に関していうと、自分自身で失敗したというのもちろん何個もあるんですが、一番失敗したのはday6で田中元気くんが一人ゴールした日なんですけど。自分は最初リッジ沿いを調子よく飛んでいて、大門さんには引き離されてしまったんですけど。調子よく飛べているなと思ってテイクオフの前に来たら、あっという間に低くなって、ものの5分くらいで降りてしまって、やらかしたー、今日は100番だと思っていたんですが、帰って見たらその日の成績は、多くの選手がファーストパイロンに向かう途中で降りていて、その日、結局順位としては17番でした。ただ17番と言ってもみんな飛んでないので元気くんが650点くらいで、僕は410点なんですけど、失敗といえば失敗。だから自分は大失敗したと思ったけど、周りの選手もみんな失敗していたので、大きく点を落としたタスクはなかったです。総合得点は僕は6295点で、博司さん6310点で9タスクやっているので700点平均取れています。僕の点で一番良かったのが902点、一番悪かったのがday6で410点、ただ今後変えていかないといけないのは、要は高得点が取れてないんですよね。いい時でも800点に届いてない、790点とかなんですね。それははっきり言ってトップ10は狙えない。今回の場合800点平均取れていれば9位か10位に入れていた。今後としては高得点をとる、トップ争いに絡めるような飛びができるように改善していかないといけないと思います。

世界選手権で気がついたこと。今回130人飛んでいて、みなうまいし、強気な選手もいてスタート待ちのガーグルとかすごい大変なんですよね。スタート待ちだけじゃなくて、飛び出してからもすごい大集団が形成されるので、飛び出した50km先、100km先でもすごい場所の取り合い的なガーグルの中で、神経をすり減らしながら上げていくんですけど、集団と一緒に飛ぶと、自分が普段フリーで飛ぶときには考えられないくらい速く飛べるんですよね。集団のグライドスピードが速いので、効率よく速く飛べるので、そういう意味では、集団を上手に使っていくのが非常に大事だなと思いました。ただ、集団ばかり追いかけたり、集団にずっと居続けることを意識してばかりだと、結局その集団が失敗したときは自分も失敗してしまう。そればっかりじゃなくて、客観的な判断も非常に大事だと思いました。

そういう例は何回かあって、day6はまさにそういう例であって、スタートの裏で、ほぼ大集団が上げきって台地の上を第1パイロンの北の方に向かって飛んで行った、その集団の中でトップにいたのが田中元気君です。大門さんはその日は、スタート前からリッジ沿いのところで一際高く上げたみたいで、リッジ上を先行してほぼ単独に近かったと思います。僕はスタートの時に中途半端にしか上がってなかったので、しょうがないからリッジに行くしかない、リッジ沿いに進んで追いかけて、途中でヒットして上げていたら、大門さんがちょっと戻って少し一緒に飛んでたりしたんですけど、その時台地の上を飛んでいた大集団は、台地を磨きながら少しずつしか進んでなくて、大集団を僕と大門さんと何人かで先行している形になり、その情報を元気君も聞いていて、帰りはリッジ沿いに飛んで来て、そのあとはサバイバルになったので、各個人の技量によってどれだけ距離が伸びたかって状況になったんですが、その時も集団について行った人たちは、そんなに良くなかった。特にクリスチャンとかアレックスは、グライダーが目立つのですぐ分かるんですね。日本人でも名草君は、空中で一緒になると“ほうっ“っていいながら楽しそうに飛んでましたけど。

チャンピオンクラスのトップパイロットでもミスを犯します。スタートでミスを犯します。ミスを犯しても挽回できるのでチャンピオンになれるんですけど、だからチャンピオンクラスのパイロットと飛べればうまく行くわけではなく、誰でもそういう瞬間はあって、一緒に飛べる時もあるが、判断が違うので差がついてしまう。だからついて行くというのはトップパイロットから学ぶという意味ではとてもいいことなんですが、自分でちゃんと考えないとやっぱり本当の実力がついていかないんじゃないかと思います。

あと、今回、池田山の大会もそうなんですが、ヨーロッパの大会、世界大会どこでもCTR、空域制限があって、今回は高度の制限もありますが、破るとスコアが0になるとか、ペナルティを食らうので、うまく計器を使って、そういうルールを守って変な減点をされないっているのがとても大事かと思います。

大体そんなところなんですが、僕自身としては、目標には全く届いていないですけど、今回は、大門さんが言っていたように、僕もプレに行っていないので、色々事情があって、行けなかったんですが、僕は次回のイタリアも、できればその次も世界選手権に出場したいと思っていて。将来的には世界チャンピオンになりたいと思っているのですが、今のペースで行くと多分なれないので、次回はもっとレベルを上げて、本当に最低トップ10に入れるように、これからトレーニングをしていきたいと思います。まあ、ちょっと舐めんなって言われそうですが、頑張ります! 以上です。