世界戦を振り返って〜名草慧〜

皆さんこんばんは。近畿大学正真正銘の四年生、名草慧です。

今回、世界選手権に出場するのは初めてだったのですが、ここに座っておられる日本代表選手の皆さんとは違って、私はオープン参加と言って、国別のポイントには加算されず、個人としての順位だけが付くという、CIVLランキングがある程度あって希望すれば出れる枠で出場しました。 レベル的には自分が一番低くて、年齢も、今23歳なんですけど、世界選手権でも最年少で、自分のレベル的に出場するのは早かったかもしれませんが、経験値を積みたいと思って無理にでも出場しました。

世界選手権の準備として、ハンググライダーを初めた時には50kgちょっとしかなかった体重を、何年もかけて15kgほど増やしました。また、学生のみならず、社会人の方と比べても、最近だとより多く飛んでいる自信はありました。でも、はっきり言って、自分が世界に通用したのは、体力だけでした。上げもグライドも、なにもかも全然及ばなくて、唯一マトモにいい飛びができたのは、公式練習日でした。本番の前日の練習日で、選手も40人ちょっとしかいなかったのですけれども、3位になれて、これいけんじゃね?と思ったんですけど、とんだ思い上がりでした。 結果は、総合106位で、最終日しかゴールできませんでした。

じゃあ、なんでそういう風になったか、自分で考えると、まず世界選手権のガグルが凄まじくて、前の人にただただ付いていくだけだと、自分がジリジリジリジリ下がっていって、全然集団で飛べなかったというのがあります。中盤くらいからは、もうガグルで遠慮しないと決めて、内側をぐっと切り込むように回したりもするようにして、ある程度ついて行けるようになったんですけど、やっぱり一人になったり、すごく低くなるとすぐに降りてしまうというのが多くて、そういう順位になりました。なので、一人で飛ぶスキルが全く足りないというのを痛感しました。 色々な大会に出ると経験値は得れます。得れるとわかっていたので、いっぱい大会に出たい出たい、となっていたのですが、一人で飛んでサーマルを見つけて、自分の力だけで、色々な所を飛ぶというのが圧倒的に足りていないというのを、本当に思いました。 一人で飛ぼうと思ったら飛べるという自信と実力を持っていないと、集団の中で飛べないんだなというのをとても感じ、これからは集団にただ付いていくのではなくて、必要に応じて集団を「使える」という感じにならないといけないなと。 ゴールできない度に、大門さんや砂間さんや色々な方に、どうやってゴールしたのか聞いて、アドバイスを頂きました。その中で一番印象に残っているのが、大門さんに、どこ見てるんですかと聞いた時に、「前しか見てないわ」と言われて、すごいハッとしました。センタリングしている時であったり、普通にグライドしている時に、前の状況を見たほうがいいのは当然のことで、わかっているつもりではいたんですけど、その大門さんの、前「しか」見てないというその表現に、自分とトップ選手と比べたら、前の状況の把握しているレベルがぜんぜん違うんだなっていうのに気づきました。雲がどういう風に流れていて、どこにできて、どの選手がどこにいてガグルを作っているのかとか、そういう前の状況の情報の取り込めている量が全然違って、どの方向へどんなスピードで飛んでいくかがわかって無さすぎると感じました。

私は中学生くらいからハンググライダーを始めようと決めていたんですけど、ただただ空を飛びたいという、それだけの思いを抱き続けてきて、18で始めて今でハンググライダー6年目になるんですけど、今が一番空飛びたい欲強いです。とにかく飛びたい。もうちょー飛びたい。で、どこまでも上手くなりたいと今とても思っています。 今後の抱負なんですけど、僕は日本人初の世界チャンピオンになるのが目標です。なので、これから先程言った、前を飛ぶ練習であったりとか、やっぱり大会に出るのも重要なので、来年のプレ世界選手権、ヨーロッパ選手権、イタリアンチャンピオンシップなどに出れるように準備をしていきたいと思います。今回の結果は106位だったんですけど、ポジティブに考えれば、あと世界でたった105人抜けば世界チャンピオンになれるわけです。そうなるためにこれからも大会に飛びに来ますので、みなさんこれからもどうぞ一緒に飛んで下さい。

ありがとうございました。