世界戦を振り返って〜田中元気〜

田中元気です
本当にたくさんの応援ありがとうございました
わたしも海外経験があまりなくて、今回の世界選手権が2回目です
8年前のララーニャ@フランスが初めての海外でのフライトで、そこからほとんど海外に飛びに行かないままなので、大門さんからは準備が足らないよと言われそうですが、、、
私がハンググライダーを始めたのが2002年で、次の年にブラジルの世界選手権が行われていて
そのときに帰ってきた人からブラジルは首都のどまんなかにビルをかき分けて降りてくんだということを聞いていて
ブラジリアには本当に一回行ってみたいと思っていた憧れの土地でした

個人的にこの4月から大阪転勤になって仕事も変わっていて、世界選中に子供が生まれることも分かって
本当に世界選に行っていいのかと思ったんですが、家族から「行ってこい!」と言って頂けたので今回参加することができました
個人的には50位だったので総合成績は出なかったのですが、皆さんから応援して頂いた結果、デイリートップを一日取ることができました
デイリートップをとるとビックリするぐらい外人の目が変わりました
「誰だこいつは、このガキは」と思われていたのが
「OH TANAKA〜」と毎日言ってくれるようになってすごく面白かったです
ここまで人の目って変わるんだなっていうぐらい変わりました

あの日はちょっと厳しいコンディションで最初はテイクオフの裏の台地の上をを高くいけたんで、いい感じに進めていたんですが
無線ではえらい渋いぞと聞こえてきていました
最初のパイロンを取った時に周りに有力な選手が数名いたんですが、後ろから全然選手が来なくて、
崖沿いを戻っていた大門さんや砂間さんがいい感じに進んでいる無線を聞いていたんで、一気に崖沿いに戻ったのが功を奏しました
アレックスやクリスチャンは台地の上を戻っていたようで、戻るのにすごく大変だったみたいでスタックしていました
テイクオフに戻った時に降りそうになったんですが、何とか低いところから上げなおすことができて
大門さんが上で上げているのも見えていたので、ボチボチやるかと思いながら上げました
回りにはもうそのときは3、4機しかいなかったので、みんなどこだと思いながら飛んでいたんですが、南下して進むうちに大門さんに追いついたんですが、対地3,400mしかなくて、先に進んだ大門さんも降りてしまい、まわりに数機しかいない状況になったんですが、
大門さんからも無線でいろいろと情報をもらいながら
「いいからじっくり上げろ!」という無線ももらって
もうこれは出し抜くことは全部忘れて0.5のサーマルに集中し上げようと、えっちらおっちら上げていたら
途中からけっこう良くなって3000mぐらいまで上がったんです
地面は1000mあるので、対地で2000mで残り30数キロなので
「これは届かないよな〜」と思いながらグライドしていたら
ちょうどコンバージェンスラインに乗ったのか全然落ちなくて
ゴール前の最終パイロンとって、残りのを20km対地1400mぐらいで、ちょっとキツイかなと思ってたんですが
フォローでリフト帯で全然落ちなくて必要滑空比も減ってきて
残り8km対地700で「あれ、これイケるかな」ってなってきて
残り4km対地500で「これイケる!」ってなって
ダイモンさからも「油断するなよー」って無線も入ったりして
応援して頂いてたのでありがったです
北野さんからも「今行くからなー!」って言われて赤土あげながら走っていくのも見えていて
ゴールした時に選手は誰もいなくてすんごいうれしかったです
外人にも「こんなにうれしそうにしてるやつは見たことない!」って言われるぐらいでした

すごいうれしくて「よっしゃやったるぜ!」って思ってたら次の日にスタート前に降りてしまって、、、
近くに降りてたメキシコ人から
「あれ、トップゴールのGENKIだよね!?なんでここにいるんだ!?」「俺もわかんない!」ってやりとりもして、、、
あの日はスタート前も余裕で上がってたんですが、あまり高度がとれなくて
スタート20分前ぐらいに一緒にいた集団が崖沿いを2,3キロ南下した方向に行ったんですが、スタートの場所を考えるとそっちに行きたくないなと思っていたら、谷のところで上げ始めてるガーグルがあったんでそっちに周りの10機ぐらいと行ったんですよ
そしたら全員外しちゃって谷の前に出てくる展開になって
私だけ谷の中に入り込んで上げようとしたら上がらずに降りちゃいました
大反省してます

世界選手権で飛んでみて、サーマルでの上げ方としては、外人選手はVG引いてだらーっと回すので
ちゃんとコアでグリグリ上げていれば日本人は上に出ちゃうんですよね
サーマルで上げるのは問題ないんですけどでも、外人はグライド技術が全然うまいなーと
速度も速いですし

初日10位台、二日目30位台といい感じで飛べていて、他のトップ選手とも問題なく一緒に飛べていて
「これ、どうしたらいいかなー、一緒に飛んでるだけだと少し遅れてゴールはできるけど、なかなか勝てないし」
「一緒に飛んでるだけじゃちょっとなぁ」ってなって
途中でみんなと違う判断をするようにもなって、最初の10キロぐらいは出し抜けたりもするんですけど
結局その先で集団で動いているメンバーのほうが高いし、速くなるんで追い抜かれちゃうんですね
初日、二日目がうまくいっちゃったことでもっと自分の飛びをしてやろうという欲が出ちゃって
3日目、4日目と失敗をしてしまいました
後半渋くなってきて最終日にやっとみんなゴールできる日があったんですが、なかなかゴールできない日もあって
ブラジリアは日がそんなに長くはないんです
6時ぐらいには日が落ちてしまうんですけど、初日、2日目ぐらいにアーリーバードが12時ぐらいにテイクオフしたら降りてしまって
オーガナイザーとしては選手がそんなに簡単にぶっ飛んじゃうのはいやだってことで
テイクオフの時間を30分ぐらい遅らせて、全体の時間も遅くなって、でも距離だけどんどん伸びて、条件は渋くなっていって、、、
最後あと1サーマルあればエスプラナーダにゴールに届くんだけど、そのサーマルに乗れない
なんとかそのサーマルに間に合ったトップ選手だけがカッツカツの高度でゴールするようなことをやっていて
そんな状況なのに、エスプラナーダに低く来るなと言われたりもして、じゃあもうちょっとタスク考えてくれよって思ってました

大会中はずーっと飛べたのでトップ選手とたくさん飛べて、自分としては上げの技術では負けてないと思ってるんで
冷静に飛ぶべきところをもっと冷静に飛べばトータル的に良くなるんじゃないかと
日本で飛んでいる分には自分はタコらないって自己イメージなんです
そんなに得意な条件があるわけでもないんですけど、不得手な条件もないって思ってるんで
タコらずにいば順位はある程度上位に入れると思っていたら、大タコりをして順位は一気に沈んでしまいました

今後、世界選手権に出れるとき、仕事の都合もあると思うんですけど、出ていきたいなと
本当に世界選手権楽しかったです
今日みなさんと飛んでタスクやってガグルですごい近くで旋回して
「コイツこえーよ」って思われたかもしれないんですけど
世界選手権だと全然近くで飛んでたんで
「あ、みんな意外とよけていくんだ」と思いました
ので、あぶねーよと思ったらあぶねーよと言ってください
感覚がおかしくなってるかもしれないんで

次からもっと出ていきたいと思っています
もっと自分の実力も上げたいし、グライダーとかのコンディションも整えていきたいと思います
会社や家族の事情もあるので出れる出れないはありますが
わたくしまだまだ今度34歳になるので、まだまだ頑張っていきたいと思っています
ありがとうございました!